2016年度のアートラリー
オープンキッチンとは、たんぽぽの家と京都市立芸術大学、両者の距離を探りあてるためのプロジェクトです。たんぽぽの家のアーティストに、京都市立芸術大学の学生が、胸を借りるつもりでぶつかっていきました。五つのペアを組み、作品を取り交わします。作品は箱に入って届けられ、つくり足すのも、つくり変えるのも、別の作品を返すのも、自由! 展示では、結果としての作品だけを提示するのではなく、それに到るまでの映像や写真、手記をあわせて展示しました。時にあやうい足取りを、それでも楽しみながら進んでゆく、奇妙な文通の記録をご覧ください。
2016年度の相関図
2016年度参加者紹介
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鮎川 奈央子
自らの体験のなかで面白かったり、なんか気になったり、グッときたタイミング、その状況、存在をモチーフにし、それらを記憶から形に変換することを表現としている。
2020年 「OBJECT」
(京都/ANTEROOM KYOTO)2020年 「ななラボ 七輪陶芸研究所」
(京都/VOU 屋上)2020年 「渋谷パルコ陶器売り場」
(東京/OIL by 美術手帖) -
伊藤 樹里
1977年生まれ 奈良県在住
1995年よりたんぽぽの家で活動をはじめる
1995年より「Group文字屋」所属
2007年「エイブルアート・カンパニー」登録アーティスト
2010年「Group文字屋」解散後も書の活動を続ける一日4回のラジオ体操、紅茶づくり、「ニュース」かき、薬のカラ集め、ラジオ深夜便を聞くこと…etc.、好きなこと・やりたいことが彼女の「仕事」である。その中でも、30年以上前から集めている薬の殻は段ボール数十個分にものぼる大切なライフワークとなっている。また、「ニュース」の文字を“筆”で書くことを発見してからは、書も大好きな仕事のひとつになった。語り部、パフォーマーなどの顔ももち、様々な方法で自身の「仕事」を発信している。
2012年 「鳥の演劇祭5」(鳥取/鳥の劇場) 2016年 「表現の森」(群馬/アーツ前橋) -
加納 明香
1994年 滋賀県生まれ。2019年 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程 絵画専攻油画 修了。絵から画面の外まで、ひいては見ている人の周囲や背後までもまわりこむことができるような空間の広がりを持つ絵、「サラウンド感」と作者が呼ぶ感覚のある絵を目指し制作している。その感覚とは外で、ある風景と出会ったときの全方向的な空間に対する感覚だ。それを実現できれば絵でありながら、風景を見る時と同じようなその時の体験に迫るものができるはずだと考え、線や色斑といった絵の要素を用い空間の見え方を試行している。
2018年 「Tourbillon 16 Part 2」
(大阪/Oギャラリーeyes)2020年 ファン・デ・ナゴヤ美術展2020
「ここに在るということ」
(愛知/名古屋市民ギャラリー矢田) -
河原 雪花
1997年大阪府生まれ、京都府在住。
2021年 京都市立芸術大学大学院美術研究科構想設計修了 / 2019年 ポズナン芸術大学留学 / 2019年 京都市立芸術大学美術学部美術科構想設計専攻卒業。中東欧やロシアのアニメーションにおける技法・表現に影響を受けながら、切り絵を用いたアニメーションで〈共生〉をテーマに映画を制作している。世界中の出来事が瞬時に拡散される時代だからこそ、おとぎ話の寓意的表現や詩的表現、物語のもつ想像力に重きを置いている。 -
小松 和子
自らをとりまく人々への感謝の想いを、色・形・模様で表現する。
2014年 「花は咲きたい-小松和子・武田佳子二人展」
(東京/OIL by 美術手帖)2018年 「Museum of Together」
(東京/スパイラルガーデン) -
中村 真由美
1985年生まれ 奈良県在住
2004年よりたんぽぽの家で活動をはじめる
2007年「エイブルアート・カンパニー」登録アーティストカラフルでポップなイラストと、細部にまで描写された絵画たち。この作風の違いはモチーフの有無によって生まれており、自由に描けばイラストに、モチーフを見て描けば緻密画となって画面に表れる。その他イラストを立体にした作品を作ったり、毎日欠かさず絵日記を書いたりなど、多岐にわたる創作活動を展開している。
2016年 中村真由美巡回個展
「並行するスタンダード」
(鳥取/くらよしアートミュージアム無心、米子コンベンションセンターBiG SHiP、とりぎん文化会館)2018年 「NAKAMURA」
(東京/段々色ギャラリー)2020年 「中村真由美 個展」
(東京/松坂屋上野店本展7階 上野が、すき。ギャラリー) -
山口 真琴
京都市立芸術大学美術科彫刻専攻卒業
単純なパーツのくりかえしの中から構築されていく形の美しさに心惹かれ、制作と展示をくりかえす中でそれにどれだけの美しさが見出だすことができるのか、楽しみながら創作活動をしています。
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山野 将志
1977年生まれ 奈良県在住
1995年よりたんぽぽの家で活動をはじめる
2007年「エイブルアート・カンパニー」登録アーティスト植物や動物・昆虫などの生命と対話するように描く。森や空などの自然を全身で感じ取り、力強い線と豊かな色彩を重ねていく。お出かけすること、人にしゃべりかけること、ご飯を食べに行くこと…。すべてが自分を表現する大切なものとしてつながっている。2006年にオーストラリア、2009年に中国・上海など、海外での作品発表、創作活動を体験した。
2011年 「ヨリコレミドリ 山野将志展」
(大阪/高島屋大阪店・ギャラリーNEXT)2018年 山野将司個展「森羅万象」
(鳥取/くらよしアートミュージアム無心、とりぎん文化会館・山陰合同銀行ギャラリー)2019年 「山野将志展」
(東京/松坂屋上野店本館7階 上野が、すき。ギャラリー) -
R
制作スタイルは一環して点描。流れるようにドットワークを打ち込んでいく。展覧会「モノが物語る意匠の文化史」にて舞踊家の佐久間新が仮面作品を被りダンスパフォーマンスを行うなど、コラボレーションも行なっている(音楽:やぶくみこ /撮影・編集:les contes)。
アートラリーの様子
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2016年度のアートラリー
鮎川奈央子×R
ラリーの回数を重ねるごとに、どんどん作品が展開していった2人の共同。初回のRは制作途中の和紙の仮面と、金と銀でドットワークをした2mほどあるテキスタイルを送付。その後返ってきたものは木の板に描かれたゆる~い絵画作品と新たな人の仮面。そこにRはドットワークと和紙を重ね、最後はテキスタイルにも鮎川の手が入るなど、大きな広がりをみせたアートラリーとなった。
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2016年度のアートラリー
加納明日香×小松和子
絵画をベースに制作活動を行う2人。小松の絵の色相に惹かれた加納の呼びかけでラリーがスタートした。初回の小松は下地をぬった20cmほどの小さな2つのパネルに、テーマを記したテキストを同封。そこに加納が着彩を加えて、また小松に返す。小さな絵画の世界に繊細で濃密なやりとりが行われた。
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2016年度のアートラリー
河原雪花×中村真由美
“作品に手を加えても、全く別のものを送っても、ときにはやぶったりしてもOK” – そんな合言葉からはじまたOPEN KITCHENで、まさにそれを行ったのがこのペア。中村が描いたイラストの上に河原がクレヨを塗りたくり、それを中村が破って返す。そんな大胆な試みが行われた2人の共同だった。
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2016年度のアートラリー
土居あかね×山野将志
2人のやりとりの結果は陶器の鳥に、なにやら不思議な丸いボールがついた立体作品。もとになったのは山野が描いた鳥の絵画だ。それを見た土居が立体におこし、山野が紙のボールをつけていく。絵画と陶器、鳥の顔が向き合いように作られており、二羽の鳥が2人のラリーを象徴している。
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2016年度のアートラリー
山口真琴×伊藤樹里
普段から伊藤が作っている輪つなぎや日記などを送ったところから始まったアートラリー。山口からの返信は、日記を折り紙のように扱った折り鶴など。2回目の伊藤はそれをテーマに日記を描く。最後の山口は今までの2人のやりとりに添えるように、日記の紙片で花を作り出した。
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2016年度のアートラリー
武藤桃
武藤のオープンキッチンへの参加方法は他の作家とは異なり、アートラリーそのもののプロセスの記録や他の制作者の声や思いを届けることを作品とした。そのため、ペアを組まず、全体の観察者としてオープンキッチンに関わった。武藤は参加者の「手」に注目し、その記録を手の形を点描した金属板と映像で表現した。